遠藤暁のブログ

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【書評】1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法 現金給付で貧困をなくす

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こんにちは。遠藤暁(@str_se)です。

 

ぼくが読んで面白かった本をご紹介する記事。

今回読んだ本はこちら。

 

1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法

1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法

 

 

著者は、マーク・ザッカーバーグと共にFacebookを共同創設したクリス・ヒューズ氏。

 

この本を読むまで著者のことは知りませんでしたが、本を読み進めていくうちにクリス・ヒューズという人物に強い興味を抱くようになりました。

 

個人的にこの本の中で面白いなと思った一節がこちら。

富の格差の最も有効な解決策は、最もシンプルなものである。すなわち、最も必要とする人たちに現金をわたす。この「保証所得(ギャランティード・インカム)」という手法は、革新的で、なおかつきわめてわかりやすい考え方だ。年収五万ドル未満の世帯の成人労働者に、月五〇〇ドルの最低所得を保障すれば、九〇〇〇万人のアメリカ人の生活を改善し、二〇〇〇万人を一夜にして貧困から救うことができる。

引用:1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法 クリス・ヒューズ、櫻井祐子

 

国際協力の世界でも問題視される『富の格差』

 

その解決策として、富を持っているひとたちが富を持っていないひとたちに『現金』を渡すというものを提唱しているんです。

 

そしてこの『富を持っているひとたち』とは誰のことを指すのかというと、『上位1%の富裕層のひとたち』

 

上記の引用文ではアメリカでの貧困を救う例を出していますが、この『現金を渡す』という方法は、アメリカ以外でももちろん活用可能なはず。

 

これからの国際協力でも有効な方法なのではないかなと思いました。

 

今回この本を読んで面白かったポイントを、もう少し紹介していきます。

 

欲しくもないものをもらう貧困層

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世界には様々なNGOや慈善団体が存在しており、それぞれの団体の活動内容も本当に幅広いもの。

 

各団体がどんな支援をしているかをすべて把握するのは、不可能です。

 

本書の中で、こんな一節がありました。

ある受給者は、別の慈善団体に乳牛をもらったことを、通訳を介して教えてくれた。「乳牛をもらってどうしろというんですか?エサをやって面倒も見なくちゃいけない」。家畜はいらないしほしくもなかったのに、慈善団体は彼の関心や飼育能力にはお構いなしに、牛を与えることを決めたという。

引用:1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法 クリス・ヒューズ、櫻井祐子

 

“家畜はいらないしほしくもなかったのに、慈善団体は彼の関心や飼育能力にはお構いなしに、牛を与えることを決めたという”

 

『支援をする』という『行動』だけが目的になってしまうと、受給者側の気持ちを考える余裕がなくなってしまうんだなと感じさせられました。

 

牛を与えたという事実を持っておけば、慈善団体としては『いい活動をしている』という気になるのかもしれません。

 

でも『支援』というものが、『自分たち(慈善団体)が満足するためのもの』になってしまう場合もある。

 

そうなると逆に、受給者を困らせてしまう、より深刻な状態に陥らせてしまうこともありうるんだなと思いました。

 

欲しくもないものを貰う受給者は、いてはいけませんよね。

 

支援というものは、支援する側の自己満足ではなく、支援の対象となるひとたちのことを第一に考えないといけない。

 

その当たり前の事実に、改めて気づかされました。

 

現金給付の可能性

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世界の貧困層に対する支援として『お金を渡す』という方法があるとしても、その方法に対していい印象を持たないひとも多いと思います。

 

貧困から救うためにお金を渡したところで

・お金を渡しても変わらない

・渡したお金を無駄遣いするだけ

・そもそもお金をうまく使えない 

こういった印象を持っているひとが大多数なんじゃないでしょうか。

 

しかし本書にはこう書かれています。

現金給付は金銭的貧困を緩和し、貯蓄を増やし、学校出席率を高めるほか、児童労働の低下にも関連している。またほとんどの研究では、成人の労働時間への影響は確認されず、いくつかの研究では増加が示されている。世界銀行もすべての現金給付研究の分析を行い、現金給付が飲酒や喫煙行動に影響をおよぼす証拠はないとしている。

引用:1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法 クリス・ヒューズ、櫻井祐子

 

この文の中身をもう少し掘り下げます。

 

現金給付が労働時間におよぼす影響

 

上記の引用文の

またほとんどの研究では、成人の労働時間への影響は確認されず、いくつかの研究では増加が示されている。

とはどういうことか。

 

現金給付には、もともと働いている成人に対して現金を給付したら『働かなくてもお金がもらえる』という考えになり、最終的に働くなくなってしまうのではないかという懸念がありますよね。

 

しかし研究の結果、働いている成人に現金給付しても、その労働時間が減ることはなかったということ。

むしろ増加が見られた、つまり現金給付を受けた後の方がより働くようになったという結果もあるとのこと。

 

『なぜそういう結果になるのか?』を知りたい方は、本書を手にとって読んでみてください。

 

1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法

1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法

 

 

もらったお金を無駄遣いはしない

 

現金をもらった貧困層の人たちが、飲酒や喫煙など、一種の娯楽にもらったお金を費やしてしまうのではないかという点も、現金給付の懸念事項。

 

しかし本文中では

世界銀行もすべての現金給付研究の分析を行い、現金給付が飲酒や喫煙行動に影響をおよぼす証拠はないとしている。

と言っているんです。

 

本当に生活に困っているひとたちに現金を給付しても、酒やタバコに大量にお金を使ったりはしない。

シンプルに、もらったお金は自分たちの生活をよりよくしていくために使うんです。 

 

例えば

・病院に通う

・子どもを学校に通わせる

・しっかりした食事をとる

・なにかあった時のために貯金する

 こういった使い方。

 

貧困層にお金を渡しても無駄遣いする』というのは、私たちの勝手な思い込みでしかないんです。

 

現金給付の予算の割合は増えている

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ここまで書いてきたような『現金給付』がもたらす結果は、当然ながら国連機関も把握しています。

 

国連救済委員(IRC)や国連世界食糧計画(WFP)などの人道支援団体も、こうした結果を認識している。WFPは過去五年間に予算の大きな割合を食料の配布から現金の給付に切り替え、二〇一六年には後者に九億ドルを投じた。「支援対象者は自分にとって何が最善かを決定できる立場にあると、WFPは考える」と、現金給付の効果に関する考察には記されている。

引用:1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法 クリス・ヒューズ、櫻井祐子

 

これから先も、もっと『現金給付』の割合は増えていくかもしれません。

 

本当に苦しい生活をしているひとたちに直接現金を渡すという仕組みには、賛否両論があることは十分理解しています。

 

もちろん、中にはもらった現金を無駄にしてしまうひとだっているかもしれません。

 

でもこの本を読んだことで、『現金給付』という仕組みの可能性を感じました。

 

『現金給付』と聞いて否定的な感覚を持っているひとは、一度この本を読んでみてください。

本当に勉強になりますし、面白い本です。

 

1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法

1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法

 

 

これからの国際協力の世界で、現金給付の予算の割合がどんどん増えていくかもしれませんね。

 

 

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